縄文人と私達 〜 注5

公開: 2022年9月17日

更新: 2022年9月17日

注5. 縄文人の遺伝子分析

生物の遺伝子は、細胞核にあるDNAを作っている4種類の物質の組合せであることが分かっています。この4種類の物質がどのような順次に並んでいるかを調べれば、ある人の遺伝的な性質が分かります。そのDNAは、人間の場合、皮膚、骨、歯などの細胞の中から取り出すことができます。古い骨の場合、骨か歯の中に残っているDNAを調べます。

縄文人の場合、遺跡から掘り出された人骨で、保存状態の良い人骨からDNAを取り出します。最近では、北海道の北端にある礼文島から出土した人骨や、福島県北部の町の遺跡から出土した人骨からDNAを採取しています。そのようにして縄文人の遺伝子を調べると、縄文人は、中国大陸の遺跡から出土した人々の遺伝子や、朝鮮半島で見つかった人々の遺伝子とは、少し違った傾向を持っていることが分かりました。

この結果から、研究者達は、縄文時代に日本列島にいた人々は、かなり早い時点で日本列島にたどり着いた人々で、人類の歴史の中でもクロマニヨン人に近い遺伝子をもった人々が、閉ざされた日本列島で、数万年間、独自に進化したのではないかと考えています。ところで、現代の日本人は、中国大陸や朝鮮半島の人々の遺伝子と共通する遺伝的な性質を多く持っていることも分かっています。

参考になる放送番組

NHK サイエンスZERO、「日本人のルーツ発見! "DNA解析"が解明した縄文人」、2016年4月9日放送(Eテレ)

NHK サイエンスZERO、「日本人成立の謎 弥生人のDNA解析から意外な事実が判明」、2019年3月30日放送(Eテレ)